日税国際税務フォーラム

中国会計・税務実務ニュースレター

2018年1月号

今回のテーマ:日台民間租税取決めの適用事例

 

1. 事例

当社(以下「A社」)は、IT事業を営む日本企業ですが、台湾企業のソフトウェアの導入サポートのために3ヶ月間(91日間)台湾で役務提供を行いました。台湾企業から、その対価100のうち20は源泉徴収され、80が送金されました。日本と台湾との間には租税条約に相当する民間租税取決めがあると思いますが、この源泉徴収税額について、台湾において免除または還付を受けることはできますか?また、そのために必要な手続きを教えてください。なお、A社は台湾に恒久的施設(以下「PE」)は有していません。

 

2. 概要

(1) 台湾国内法

台湾にて経営を行う営利事業者は、その組織形態(内国法人か外国法人か)にかかわらず、営利事業所得税を納める義務があります。台湾にPEを有しない外国法人であっても、台湾国内の役務提供所得については、源泉徴収により20%の営利事業所得税が課税されます。

(2) 事業利得に適用される日台民間租税取決め

事業利得については、外国法人が台湾にPEを有する場合、PEに帰せられる部分に対してのみ課税されます。つまり、台湾にPEを有さない日本企業は国内源泉所得についても営利事業所得税は免税となります。ただし、免税の適用を受けるためには一定の申請手続きが必要です。

(注)PEには、事業の管理の場所、支店、事務所、工場等の他に、企業が行う役務の提供であって、使用人その他の職員または者(当該役務の提供のために当該企業によって採用されたものに限ります。)を通じて行われるもの(このような活動が単一のまたは関連するプロジェクトについて当該課税年度において開始し、または終了するいずれかの12ヶ月の間において合計183日を超える期間一方の地域内において行われる場合に限ります。)が含まれます(日台協定5条)。

(3) 本件の場合

A社が行うソフトウェアの導入サポートは事業利得に該当し、(1)で述べたとおり、台湾国内法では原則20%源泉徴収されますが、役務提供期間が183日を超えませんので、日台民間租税取決めより、台湾にPEを有さないこととされるため、一定の手続きを経ることにより、その事業利得に対する営利事業所得税が免税となります。

 

3. 免税申請手続き

以下の必要書類を準備し、対価の支払が行われる前に、源泉徴収義務者を通じて台湾の税務当局へ申請をする必要があります。既に源泉徴収をされた税額の還付の申請を行うことも可能です。

① 外国営利事業申請適用租税協定営業利潤免税申請書

② 外国所得者の居住者証明の原本

③ 委託代理書の原本

④ 契約書のコピーおよび中国語訳文

⑤ 所得を証明する関連資料

⑥ その他役務のプロセス等の説明

 

お見逃しなく!

日台租税取決めの対象となる租税は、台湾については、営利事業所得税、個人総合所得税、所得基本税に限定されています。台湾国内における物品の販売及び役務の提供並びに輸入物品については、その対価の5%の営業税(Buiness Tax、日本の消費税に相当)が課税されます。

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