中国子会社の有償減資について

日税国際税務フォーラム

中国会計・税務実務ニュースレター

2017年9月号

今回のテーマ:中国子会社の有償減資について

人件費高騰、景気減速などの影響を受け、中国子会社の規模を縮小してChina+1の方針を採用している日本企業は少なくありません。中国現地法人の規模縮小にあたり、減資は一つの手法です。今回は、有償減資の課税問題を事例に基づいて紹介します。

1. 事例

2009年に日本法人A社は中国法人のB社と中国合資会社Cを設立しました。C社の資本金は1,000万元で、その内、A社の持分は800万元、B社の持分は200万元、それぞれの持分比率は80%、20%です。利益剰余金の残高は500万元で、純資産は1,500万元です。直近の3年間においては、中国合資会社C社の業績が芳しくなく、2017年にA社は所有しているC社の資本金の一部(400万元)を有償減資によって払戻しを受け、当該減資で得た資金を東南アジアの子会社に投資しようと計画しています。有償減資の対象となる資本金は400万元ですが、土地使用権等の含み利益を考慮し、日本法人Aには減資対価700万元を支払いました。B社は、これら一連のスキームに同意しています。

 

2. 有償減資の課税関係

「外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法」(商務部令[2016]3号、以下「届出暫定弁法」という)の公布・実施に伴い、ネガティブリストに該当しない企業の変更事項に関わる手続が審査制から届出管理制に変更されました。届出暫定弁法実施後においては、外商投資企業の減資に対する規制が大きく緩和され、外商投資企業の減資事例がしばしば見受けられます。

投資企業が被投資企業から投資を引揚げ、又は減少した場合には、その取得した資産のうち、当初の出資に相当する部分は投資の回収と認識されるべきであり、被投資企業の未処分利益及び利益剰余金のうち、払込済資本の減少比率により計算される部分は配当所得(みなし配当)と認識され、それを超える部分は投資資産の譲渡所得と認識されるべきとされています*1

*1 「国家税務総局の企業所得税の若干の問題に関する公告」(国家税務総局公告2011年第34号)

 

この関係を計算式で現わせば以下の通りとなります。

投資資産譲渡所得=投資資産払戻金額-当初出資額×減資比率-(被投資企業の未処分利益+利益剰余金)×減資比率

(みなし配当及び持分譲渡所得等の非事業所得に対しては、中国国内で10%の源泉所得税が課税されます。)

従って、上記事例で有償減資が行われる場合、有償減資対価700万元に対し、みなし配当は200万元、譲渡所得は100万元が発生し、それぞれの源泉税は20万元、10万元となります。その計算詳細は以下の通りです。

 

お見逃しなく!

減資払戻金の対外送金には、注意が必要です。「直接投資に関する外貨業務操作のガイドライン」における減資変更登記の審査基準には、「減資所得金額(国外に送金又は国内再投資)には、外国出資者による払込済みの資本金のみが含まれ、資本剰余金、利益剰余金及び未分配利益等の所有者権益が含まれません」と明記されているからです。つまり、払込済みの資本金を越える部分の払戻金は対外送金することができない可能性があると考えられるのです。したがって、事前に所轄外貨管理局へ打診したうえで、資本剰余金の資本金への振替、みなし配当等の源泉税納付証明資料の準備等を工夫すべきものと考えられます。

関連記事

  1. 中国からの撤退に係る移転価格調整リスクについて