2015年10月号

拝啓 社長殿

日税国際税務フォーラム

今回のテーマ:業績向上とコーポレートガバナンス

特定の従業員あるいは組織の関与の有無にかかわらず、企業は一度の大きな不祥事で消滅するリスクを抱えています。経営者が高い倫理観を持ち、危機意識を企業全体に浸透させ、健全な企業風土をつくりだすこと、これがまさにコーポレートガバナンスの役割―不祥事防止のコンプライアンス実施-であるとされていました。

 

1       稼ぐコーポレートガバナンス

しかし、安部政権の第三の矢である日本再興戦略で、コーポレートガバナンスの強化は、企業の「稼ぐ力」向上の施策としました。これに追随して東京証券取引所は2015年6月、「透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」としてコーポレートガバナンス・コード導入を行いました。これは、不祥事予防的な役割しか期待されていなかったコーポレートガバナンスは、企業の業績を向上させ、国の経済成長に寄与するという考えがあります。

 

2       ガバナンスとマネジメントの分離

1970年代、先進国で粉飾決算等により株主の利益が大きく毀損し、多くの利害関係者が利益を損なうこととなりました。その後1990年代から年金基金など機関投資家から企業の機関設計について、外部からの視点を導入する改革が起こりました。この改革の目玉は、株式会社の所有者たる株主の価値の最大化するような経営がなされるように、ガバナンスとマネジメントの分離をすることです。簡単に言えば、社外取締役による取締役会に経営監督(ガバナンス)を負わせ、執行役員に経営(マネジメント)を担当させることです。ガバナンスとマネジメントの分離は、組織のブレーキとアクセルとなり、リスクを克服し、成果をつかむための果断な意思決定ができる効率的な経営の仕組みが各国で生まれました。

 

3       リスクに立ち向かうコーポレートガバナンス

企業組織内の不祥事のようなリスクは利益に貢献しないため、出来る限り発生自体を抑えたいものです。他方、新規ビジネス参入、事業撤退など企業が成長していく過程で遭遇するリスクは、企業がまさに受けて立つリスクです。これら2つのリスクに立ち向かうコーポレ―トガバナンス、これがまさしく、企業業績が向上するための仕組みとなります。

 

4       我が国のとりくみの始動

2002年会社法改正により、監督と執行を分離した委員会等設置会社(2014年改正で「指名委員会等設置会社」)制度をつくり手当しています。なお、日本監査役協会による2014年7月調査では上場会社59社、非上場会社31社が採用しています。

 

お見逃しなく!

2014年会社法改正では、監査等委員会を取締役会に組みこみ、同委員会取締役による取締役会議決権行使による牽制効果を働かせ、かつ社外取締役の資格要件に近親者でないこと等を定め、社外取締役制度を効果あるものにしています。コーポレートガバナンスは不祥事をなくし、企業価値向上に資する手段ですが、これには、経営者自らモノ申す社外役員を必要とする気持が重要です。